引越しや家電の買い替えシーズンになると、少しでも費用を抑えるために洗濯機の設置を自分自身で試みる方が増えます。説明書を読めばできそうに思える作業ですが、その手軽さの裏には、深刻な水漏れ事故を引き起こすリスクが潜んでいることを忘れてはなりません。そして、その失敗の責任は、最終的に自分自身と、自身が加入している火災保険に重くのしかかってくるのです。 DIYでの設置で最も起こりやすいのが、給水ホースの接続ミスです。蛇口とホースを繋ぐナットの締め付けが甘かったり、斜めになったまま無理に締め込んだりすると、運転時の振動で徐々に緩み、ある日突然ホースが外れて水が噴き出すという大惨事に繋がります。また、排水ホースの取り扱いも注意が必要です。排水口にただ差し込んだだけでは、洗濯の勢いでホースが外れてしまうことがありますし、ホースの途中に極端な折れ曲がりやたるみがあると、排水がスムーズに流れず逆流して溢れ出す原因となります。 では、こうしたDIYの失敗による水漏れは、火災保険の対象になるのでしょうか。結論から言うと、多くの場合で補償の対象となります。専門業者ではない個人の設置ミスは、通常「重大な過失」とは見なされず、偶発的な事故として「水濡れ補償」や、階下へ被害を及ぼしてしまった際の「個人賠償責任保険」が適用される可能性が高いでしょう。 しかし、「保険が使えるから大丈夫」と考えるのは早計です。保険金が支払われても、水浸しになった部屋の片付けや、濡れてしまった大切な家具を元に戻すことはできません。階下の住人への謝罪や、その後の気まずい関係といった精神的な負担は計り知れません。また、保険には免責金額という自己負担額が設定されていることも忘れてはいけません。 専門業者に支払う数千円の設置費用を惜しんだ結果、修理や賠償、そして多大な労力という何倍ものコストを支払うことになる。それがDIY設置に潜むリアルなリスクです。洗濯機の設置は、単に繋げばよいというものではなく、安全な暮らしを支える重要な作業です。少しでも不安を感じるなら、迷わずプロの手に委ねること。それが、結果的にあなたの財産と平穏な日常を守る、最も賢明な火災保険の使い方と言えるでしょう。
DIYでの洗濯機設置その水漏れリスクと火災保険