子供の成長は家族にとって何よりの喜びですが、その一方で、家の中にはこれまでなかった種類のリスクが生まれます。昨日まで届かなかった場所に手が届くようになり、大人の真似をしたがる好奇心は、時として予期せぬトラブルを引き起こします。中でも、水と電気が関わる洗濯機周りは、特に注意が必要な場所。そして、もし子供のいたずらが原因で水漏れ事故が起きてしまった時、火災保険は果たして私たちの味方になってくれるのでしょうか。 例えば、子供が小さなおもちゃを排水口に落としてしまい、それが詰まって排水が逆流し、床が水浸しになる。あるいは、洗濯機によじ登って遊んでいるうちに、給水ホースの接続部を緩めてしまう。これらは、子育て中の家庭なら誰しも「あり得るかもしれない」と感じるシナリオでしょう。こうした子供の意図しない行動によって引き起こされた事故は、通常、予測が難しい「偶発的な事故」と見なされ、火災保険の「水濡れ補償」の対象となる可能性が高いです。 さらに重要なのが、その被害が階下の部屋にまで及んでしまった場合です。階下の住人への損害賠償は、火災保険の特約である「個人賠償責任保険」がカバーしてくれます。この特約は、子供が他人の家の窓ガラスを割ってしまった時などにも使える非常に守備範囲の広い保険で、子育て世帯にとってはまさに必須の備えと言えるでしょう。 もちろん、保険が使えるからといって、事故を放置して良いわけではありません。洗濯機置き場にベビーゲートを設置して子供が近づけないようにしたり、使わない時は蛇口を固く閉めておくといった日々の対策が何よりも重要です。その上で、万が一の備えとして、火災保険の内容を定期的に見直すことが求められます。 子供が生まれた、あるいは子供が歩き始めた。そんな家族のライフステージの変化は、住まいのリスクを見直す絶好のタイミングです。ご自身の火災保険が、愛する家族が引き起こすかもしれない小さなアクシデントにもしっかりと対応できる内容になっているか、この機会に一度確認してみてはいかがでしょうか。