古くなって水漏れするようになった蛇口や、デザインを一新したい洗面台。そんな時、専門業者に依頼するのではなく、自分で蛇口を交換するDIYに挑戦すれば、費用を大幅に節約できる可能性があります。インターネットで検索すれば、交換方法を解説する動画や記事が簡単に見つかるため、自分でもできるかもしれない、と考える人は少なくないでしょう。しかし、その手軽に見える作業の裏には、失敗した時の大きなリスクが潜んでいることを忘れてはいけません。 蛇口交換のDIYに挑戦する上で、まず必要になるのが適切な道具の準備です。蛇口のナットを締めたり緩めたりするためのモンキーレンチやウォーターポンププライヤー、そして作業中の水滴を受け止めるバケツや古いタオルは最低限揃えておきたい道具です。また、最も重要な準備が、現在設置されている場所の穴の数やタイプに適合する、正しい蛇口を間違いなく購入してくることです。これを間違えると、全ての努力が無駄になってしまいます。 実際の作業における最大の関門、そして最も重要な手順が「止水栓を確実に閉める」ことです。これを怠ったり、中途半半端だったりすると、古い蛇口を取り外した瞬間に水が噴き出し、床が水浸しになるという大惨事を引き起こします。無事に古い蛇口を外し、新しい蛇口を取り付けた後も、接続部分のナットの締め付けが甘ければ、そこからじわじわと水漏れが発生し、階下の部屋にまで被害を及ぼす可能性もゼロではありません。逆に、力を入れすぎて締め付ければ、新しい蛇口の部品や配管そのものを破損させてしまうリスクもあります。 蛇口交換のDIYは、確かに成功すれば達成感と節約という大きなメリットをもたらしてくれます。しかし、それは正しい知識と適切な工具、そして慎重な作業があってこそのものです。もし、少しでも自分の腕に不安を感じたり、作業の途中で「あれ?」と思うことがあったりした場合は、決して無理をせず、プロの水道業者に助けを求めるのが最も賢明な判断です。業者に支払う工賃は、失敗した時の損害額と比べれば、はるかに安い「安心料」と言えるでしょう。