蛇口を固く閉めたはずなのに、ポタポタと水滴が落ち続ける。この不快な水漏れは、水道代の無駄遣いになるだけでなく、放置すればより深刻なトラブルにつながる可能性も秘めています。しかし、実は蛇口の水漏れの多くは、専門業者を呼ばなくても、数百円の部品を自分で交換するだけで、驚くほど簡単に直せるケースがほとんどです。その原因の多くは、「パッキン」と呼ばれる小さなゴム製の部品の劣化にあります。 パッキンとは、蛇口内部の部品と部品の間に挟み込まれ、水の通り道で隙間を塞ぎ、水が漏れ出すのを防ぐ、いわば「縁の下の力持ち」のような存在です。しかし、ゴムでできているため、長年使用していると、弾力性が失われて硬くなったり、ひび割れたりしてしまいます。この劣化したパッキンが、金属部品との間にわずかな隙間を作り出し、そこから水が漏れ出してしまうのです。 蛇口の種類によって使われているパッキンの形状や場所は異なりますが、最も一般的なハンドル式の蛇口の場合、水漏れの箇所によって原因となっているパッキンを特定できます。例えば、吐水口の先端から水がポタポタと漏れる場合は、蛇口内部の「ケレップ(コマパッキン)」の劣化が考えられます。一方、ハンドル(ひねる部分)の根元から水がにじみ出てくる場合は、「三角パッキン」の劣化が原因です。 これらのパッキンは、ホームセンターなどで数百円で購入することができます。交換作業自体も、まず止水栓を確実に閉め、モンキーレンチなどの工具を使って蛇口を分解し、古いパッキンを新しいものと入れ替えるだけです。ただし、自分の家の蛇口に適合する正しいサイズのパッキンを選ぶことが何よりも重要です。古いパッキンを外して、それと同じものを購入するのが最も確実な方法です。 もし、蛇口交換という大掛かりなDIYに自信がなくても、このパッキン交換であれば、挑戦してみる価値は十分にあります。数百円の投資と少しの手間で、日々の小さなストレスと無駄な水道代から解放されるかもしれません。ただし、作業の際は、止水栓を閉めるという基本を絶対に忘れないようにしてください。