自分で蛇口を交換するDIYに挑戦しようと決めた時、多くの人が工具の準備や作業手順にばかり気を取られがちです。しかし、それ以前に、全ての努力が水の泡になるかどうかが決まる、極めて重要なステップがあります。それは、交換する「新しい蛇口」を正しく選ぶことです。これを間違えてしまうと、たとえ完璧な工具と技術があっても、物理的に取り付けることができず、途方に暮れることになります。失敗しない蛇口選びのポイントを、しっかりと押さえておきましょう。 まず、最も基本的な確認事項は、現在設置されている蛇口の「取り付け穴の数」です。蛇口は、シンクや洗面台に開けられた穴に差し込んで固定されています。この穴が一つだけのタイプを「ワンホール混合栓」、二つあるタイプを「ツーホール混合栓」、そして壁から直接蛇口が出ているタイプを「壁付き混合栓」と呼びます。新しい蛇口も、この取り付け穴のタイプと数が同じものでなければ、原則として交換することはできません。まずは、自宅の蛇口がどのタイプなのかを正確に把握することが、蛇口選びのスタートラインです。 次に確認すべきは「取り付け穴の直径(穴径)」です。ワンホール混合栓の場合、この穴のサイズはメーカーや製品によって微妙に異なります。購入しようとしている新しい蛇口が必要とする穴の直径と、現在の穴の直径が適合しているかを確認する必要があります。小さすぎる場合はもちろん、大きすぎる場合もぐらつきの原因となるため、適合範囲内であることが重要です。 さらに、キッチンのシンクなどでは「吐水口の高さと長さ」も使い勝手を左右する重要な要素です。現在使っている蛇口よりも極端に低かったり短かったりすると、大きな鍋が洗いにくくなる可能性があります。逆に、浄水器内蔵タイプなど、背の高い蛇口に交換する場合は、蛇口の上に吊り戸棚などがないか、空間的な余裕も確認しておく必要があります。 これらの情報をメモし、できれば現在使っている蛇口の写真をスマートフォンで撮影してから、ホームセンターや住宅設備店に向かいましょう。そして、分からないことがあれば、遠慮せずに店員さんに相談すること。この慎重な蛇口選びこそが、DIYの成功確率を飛躍的に高める、何よりの秘訣なのです。
蛇口交換DIY!失敗しないための蛇口の選び方